生活して行く中では様々な出来事が発生します、それらをライフイベントと呼びます。
ライフイベントは人生において重要なポイントであると同時に、それらを実行するためには費用が掛かると言うのも事実です。
ここではライフイベントの種類、どれくらいの費用が掛かるか、どのように準備すればよいか、について解説して行きます。
ライフイベントの種類と概算費用
ライフイベントそのものは生まれてから発生する出来事ですが、ここでは自分自身で費用を捻出すると言う視点で、発生するイベントを時系列を想定して挙げることにします。
結婚
結婚にかかる費用は挙式・披露宴だけでなく、結納や婚約指輪、新婚旅行などの費用も含まれます。これら全ての費用は全国平均で466.4万円※となっています。
実際にはお祝い金等で掛かる費用の一部はまかなうことが出来ます。
※ 親ごころゼクシィ 結婚費用の項目と相場 2018年度調査
出産
出産に掛かる費用は検診や入院・分娩、検査や予防接種、マタニティ用品の購入などがあります。病院へ支払う費用の全国平均は50.6万円※となっています。
健康保険に入っていれば、出産育児一時金として42万円が支給されるので、掛かる費用のかなりの部分をまかなうことが出来ます。
※ 国民健康保険中央会 統計情報 出産費用 平成28年
子供教育
子供を育てるのには、日々の生活に掛かる費用のほかに、幼稚園や学校または塾などに通わせる教育費が掛かります。どれくらいの費用が掛かるかは、公立の学校にするのか私立の学校にするのか、大学まで行くのか行かないのか、によって大きく変わって来ます。
幼稚園から高校までの15年間の学習費総額は、全て公立の学校にした場合は約540万円、全て私立の場合は約1,770万円と言う統計データ※1があります。
また大学の場合も、国公立の場合は入学費用約80.1万円と在学費用約459.2万円を合わせた合計が約539.3万円、私立文系では合計約730.8万円、私立理系では合計約826.7万円と言うデータ※2があります。
※1 文部科学省 平成28年度子供の学習費調査の結果について
※2 日本政策金融公庫 平成30 年度「教育費負担の実態調査結果」
住宅購入
住宅の規模や地域による差はありますが、新築の場合の住宅購入費用は全国平均で建売住宅が約3,442万円、マンションが4,437万円となっています。※
※ 住宅金融支援機構 2018年度フラット35利用者調査
老後生活
老後はつつましい生活にしたとしてもある程度の支出が必要となりますが、収入は年金頼みになるため大きく減ることになります。
高齢夫婦の世帯を想定した試算※では、収入が209,198円、支出が263,718円、月当たりで約5万円の赤字になっています。老後生活が20年続けば約1,300万円、30年続けば約2,000万円が不足する計算になります。
※ 金融庁 「高齢社会における資産形成・管理」
介護
老後生活をずっと健康で過ごせれば良いですが、介護が必要な状況になることも考えられます。
介護状態になった場合の統計データ※ですが、期間としては平均54.5か月、一時的に掛かる費用が平均69万円、月々に掛かる費用が平均7.8万円、合計では約494.1万円となっています。
※ 生命保険文化センター 「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度
葬式
誰もが避けることが出来ない最後のイベントです。
葬儀の規模や地域によって掛かる費用はさまざまですが、統計データ※によると総額は約196万円となっています。
※ 日本消費者協会 「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」/2017年
ライフイベント表
先ほどの概算費用は一人当たりであったり、夫婦で必要な金額であったり様々なので、ある家族構成を想定していつどれくらいの費用が掛かるかをライフイベント表に示してみます。
ここに示したのは一例であり、それぞれの人にはそれぞれ異なるライフイベントが発生します。自分自身のライフイベント表をイメージしながら、必要な資金をどう準備するかを考えて行くことが重要です。
資金準備の考え方
ライフイベントには予測出来るものと出来ないもの、自分でコントロール出来るものと出来ないもの、があります。また、全てのライフイベントに十分な資金を準備するのは、経済面でかなりの負担になります。
そこで、まずはオールマイティーに使用出来る 「不足の事態に備える資金」 を確保した上で、確実に支出が想定される資金を計画的に準備するようにします。
不測の事態に備える資金
社会人になったら、月々の積み立てやボーナスを上手く利用して、、まずは100~200万円くらいの資金余力を持ちます。これを 「不測の事態に備える資金」 と位置づけます。この資金があれば、若いうちのライフイベントや病気療養・手術等の不測の事態にも耐えうることが出来るはずです。
この 「不測の事態に備える資金」 は使ってしまった分を補充しつつ、年齢と共に金額を少しずつ増やして行きます。それは年齢と共にライフイベントや不測の事態に掛かる費用が増加するためです。夫婦2人であれば早い段階で400~500万円くらいを確保しておきたいところです。
結婚
予定が明確かつ時間に余裕があれば、必要な時期までに計画的に資金を準備すれば良いですが、一般的にはそのような状況は少ないと考えられます。早めに 「不測の事態に備える資金」 を準備することで、いつでも対応出来る状態を作っておくことが良いでしょう。
出産
他のライフイベントに比べて費用も少ないですし、保険でかなりの部分がまかなえることが想定されます。「不測の事態に備える資金」から一時的に支出しておく、と考えればよいでしょう。
子供教育
全てを国公立とした場合でも、大学で掛かる費用を毎年のキャッシュフローから捻出するのは厳しいので、高校卒業までに不足分の資金を準備することを考えた方が良いでしょう。子供が生まれてすぐに準備し始めれば約18年間の時間を使うことが出来るため、資産運用などを有効的に使って資金を準備することが出来ます。
高校または中学から私立に通う場合は年間120万円程度の費用が掛かるため、中学卒業または小学校卒業までに大学で掛かる費用の準備がどれくらい出来るのか、私立に通わせながらも費用の準備が出来るかを、考慮して計画を練る必要があります。
幼稚園や小学校から私立を狙うとなると、費用を準備する時間もほとんど無く、年間120~200万円の支出が大学卒業まで続くので、毎年のキャッシュフローで捻出出来る余力が無いと難しいです。
住宅購入
ローンを
老後生活
準備しなければならない金額は非常に大きいですが、必要となる時期が明確なので、計画は立てやすいです。一方、子供の教育費用や住宅ローンの返済がひと段落してから老後生活資金を貯めようとしても、全く資金を貯める余力が無くなっている可能性もあります。
必要額の半分くらいを目標に若いうちから積み立てるようにして、残りの半分は子育てなどがひと段落して資金余力が出来てから貯めるように計画します。そうすれば、時間を有効活用することで資産が増える可能性も高まり、老後生活資金が全く貯まっていないという事態が避けられます。
介護
必要となる時期が必ずしも老後生活に入ってからとは限りませんし、介護状態にならなければ必ず必要な費用とも言えません。資金の準備方法として介護保険なども考えられますが、支払った金額が無駄になってしまう可能性もあります。
他の事柄も含めた「不足の事態に備える資金」として、いつでも引き出せる預貯金で準備しておく方が良いでしょう。
葬式
必要となる時期は想定出来るものではありませんが、必ず必要となる費用ではあります。
死亡保険や葬式保険で確実に準備しておくと言う方法もありますが、老後生活資金や「不足の事態に備える資金」の一部が最終的にあてがわれると考えて、それらの資金を潤沢にしておくことが現実的です。
まとめ
一生涯のライフイベントに掛かる費用はかなりの高額になりますが、どれくらいの費用になるかはどのようなイベントが発生し、どのような選択をするかによって人それぞれです。
特に 子供教育,住宅購入,老後生活 の3大支出については、日々の生活および資産運用のベースを崩さないためにも 「不測の事態に備える資金」 をバッファーに持った上で、どのレベルにするかの決定には十分な注意が必要です。
予測出来るもの、想定出来るもの、については時間を有効に使って計画的に資金準備を進めることをお勧めします。